研修医インタビュー

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令和3年度修了初期研修医濱田 啓一
山形大学出身

 こんにちは、濱田啓一と申します。2年間の臨床研修を終えるタイミングで執筆しております。まずは自己紹介ですが、私は千葉県柏市出身で、浪人生活を経てサッカーが強いということをきっかけに縁もゆかりもない山形大学に入学しました。学生の間はサッカーに明け暮れており、学業は追試にかからない程度に程々に、といった具合で過ごしていました。在学中には5年生の実習を回るまで荘内病院という名前を聞いたことはほとんどなく、よく耳にするのはその他県内の人気研修病院の話。実習での外病院選択の人気も同様であり、もともと地元千葉での研修を考えていた自分はたまたま枠が空いていた当院の実習を選択しました。そんな私が当院で研修をするに至り、大満足で研修を終えようとしている経緯、そして当院の魅力をお伝えできればと思います!
 5年生の実習で整形外科を回りましたが、初めて見たこの病院の印象は「思ったよりきれいで大きな病院だな」といったものです。中に入ってみるとすれ違う職員が皆さん挨拶をしてくださり、他の病院での実習では感じられなかった心地よさを感じました。実習中は当時の整形外科の先生方に様々な手技を経験させていただき、待機室は研修医と同じ部屋で病院の良いとこ悪いとこを聞いたり世間話をしたり。当時はコロナもなかったので飲み会も連れて行っていただき、非常に楽しく過ごしました。 時は流れマッチングの時期、研修病院に迷っている私のもとに当時整形外科医長の先生から研修のお誘いのメールが届きました。先生から直接連絡をいただいた病院は唯一であり、自分を大切に育ててくれそうだという印象を抱いて研修を決めました。
 結果としてこの選択は大正解だったと個人的には思っています。その理由を長所、短所として説明できればと思います。

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少人数制・学閥なし。温かなスタッフに囲まれた刺激的な冒険に、さあ出かけよう。

長所

①豊富な症例を経験できる
 荘内病院の主医療圏は南庄内地域(約15万人)、病床数は521床と県内でも多い方です(2次救急病院では県内2位?)。そのためこの地域の症例はほぼ集まり、救急科の先生曰く"2.9次救急病院"というのもあながち間違っていないような気がします。後述しますが当院にはない診療科もあるので、転院搬送先での加療となった場合には患者さんのその後を追えない場合もあります。志望科の疾患ならばその後の加療も知れた方がいいかもしれませんが、そうでなければ個人的には研修医のうちは初期対応の経験を重ね、最低限のことを必死に身につける方が大事な気がします。数が大事とは思いませんが、救急科志望の同期は1300症例、私も1000症例程度のfirst touch経験を経て、度胸はついたように思います(笑)

②病院全体で研修医を育て、大切にしてくれる
 他の病院に比べて病床数に対して医者の数が少なく、後期研修医が少ないことも加わって、初期研修医が戦力として考えられている感覚があります。先生方も多忙のため、聞くタイミングがない事務的なことなどは医療スタッフが優しく教えてくれることも度々あります。特に初期の頃はわからないことだらけ、病棟によってもルールが違ったりするのでかなり助かったのを覚えています。自分と一回り、二回り離れているような先生も環境に慣れているのもあってか垣根なく接してくださり、より専門的なことを学べたり、研修医の数も多くないので一人ひとりのことをしっかり覚えてくれているように感じました。

③研修医専門の秘書さんがいる
 秘書さんの存在なくして私の研修は成り立たなかったといっても過言ではないでしょう。学生の頃、他県の病院も含め10以上見学に行きました。総務課の研修医担当は基本的にどこの病院もいますが秘書さんがいることはおろか、同じ研修医室内にいる病院はなかったと思います。提出物や、当番・行事のスケジュール、EPOC2の管理など相当お世話になりました。3年目以降自分で管理するのがやや不安になっています、、。 お昼など時間があるときには話し相手にもなってくれ、鶴岡の母といった存在です。見学・実習に来た学生さんは是非話しかけてみてください。

④学閥がなく、後期研修先・専門科の選択もしやすい
 当院はおおまかに新潟大学、山形大学の医局員に加え、様々な大学出身の先生がいらっしゃいます。その影響もあってか(?)、近年当院を研修先に選択する研修医も全国様々な大学から来ます。そのため研修医内でも卒業大学に偏りなく最初からフラットな関係で仲良くなっている印象を受けます。上級医の先生方も違う大学の先生が多いため、各地の話を聞くことができました。また、良くも悪くも当院で後期研修を行うことは現在できない(※)ため、後期研修の専門科や場所を自由に選択できます。そのために必要な見学や面接のための年休は十分量いただけますし、上級医も「そろそろ後期研修先決めた?」「見学行かなくていいの?」など協力的な姿勢であることが多かったです。初期研修中に自分の進む道を決めたい方にはもってこいだと思います。
(※)連携施設として研修できる診療科あり。

⑤ローテーションのフレキシブルさ
 当院の魅力の一つだと思います。自分は研修を始める時には2つの科で迷っており、どちらも回ってから決めようと思っていました。決め方としては必修科の回り方を予め秘書さんが決めてくださっているため、残りの期間を選択科として科ごとの受入人数と他の研修医の希望とで話し合って決めますが、人数が少ないこともあって割と希望は通りますし、決めたあともどのタイミングでも自分の希望で変更が可能です。この制度にはかなりお世話になり、志望科もギリギリまで悩むことができました。また、特殊なケースですが志望科の非常勤の先生が来るタイミングだけ抜けて見学しに行くといった形の研修を受け入れてくださる科もあり、非常に助かりました。

⑥研修医の人数が少ない
 これは人によっては短所ともなり得るかもしれません。私個人としては人数が少なかったからこそ症例数や経験手技数も増えたと思いますし、良い事も悪い事も話し合い、今後も定期的に集まりたいと思う同期ができました。人数が多い中で研修したいと思う方には少し難しさはあるかもしれませんが、冒険してみたいと思う方には面白い環境ではないでしょうか。

⑦県内の協力病院での研修・国立がんセンター東病院の見学も可能
 荘内病院では残念ながら回れない科もあります。ただそのような科については県内に協力病院がいくつかあり、そちらで回ることが可能です。私も精神科をこころの医療センター、形成外科を庄内余目病院で回りました。その他呼吸器外科や心臓血管外科は置賜総合病院での研修が可能であり、国立がん研究センター東病院との連携も始まってそちらでの見学も可能なようです。奇しくも私は外病院での研修で志望科を決めるきっかけになったこともあり、チャンスがあればいろいろな病院を回って色んな角度から医療を経験することをおすすめします。

⑧研修医の意見もしっかり聞いてもらえる
 月に1回、臨床研修委員会が開かれ、研修担当の先生と研修医、研修医担当の総務の方とで意見を交わす機会があります。ここで研修に関する意見を言うことができ、先生方も私達に「意見はないか」と尋ねてくれることが多かったです。具体的なことで言えば研修医の当直の時間帯(任意参加の時間帯)の変更などは意見を通していただき、柔軟に対応してくださりました。来年度より当直体制は変更されるようですがその前にも研修医の意見として話し合いの時間を設けていただき、研修医の教育や休養のことも考えた働きやすいシステムになったように感じます。

⑨福利厚生がしっかりしている
 住居についても希望すれば(※)研修医は病院から徒歩5-10分程度の医師公舎の1K(無料)、あるいは1LDK(4,000円、こちらはなかなか入居は難しい)の部屋を借りられます。綺麗で床暖房も完備しており、環境としてはかなり良いのではないでしょうか。現在引っ越し作業中ですが正直出て行きたくありません笑。その他、年休や給与に関しても十分頂けますし、残業代もしっかり出るというのはありがたいと思っています。 このあたりの詳細については募集要項を参照ください。研修に関しては他院と比較して検討されると思いますが、情報がしっかり乗っている点でだいぶ良心的だと思います。
(※)他常勤医等の入居状況によっては、荘内病院の指定する近隣の賃貸物件への入居の場合あり。

⑩東京へのアクセスのしやすさ
 自動車で20分程度のところに庄内空港があり、羽田空港まで一日4便出ています。加えて以前は成田空港までの便がありましたが現在はコロナの影響で廃止となっております(復活の目処は今のところはないよう...?)。約1時間程度で東京までアクセスでき、個人的には山形市にいた頃よりも簡便に感じています。その他、仙台市まではバスで2時間半、新潟市までは鉄道で2時間弱で行くことが可能です。

⑪街の中心に病院がある

 地方病院は街のはずれにあることが多い印象ですが、地図を見ていただければわかるように、当院は街の中心に存在します。鶴岡市の医療機関の中枢を担うため、市内のどこからもアクセスがしやすいように中心に設けられたという話を聞いたことがあります。飲食店や飲み屋街も歩いていける距離なので、業務後の楽しみも満喫できるのではないでしょうか。

⑫食べ物が美味しい・地域の方々の人間性が温かい
 これはしっかりと宣伝するべきと思い付け足しました。ハズレのお店を見つけるのが難しいほど、この地域の料理は美味しいと思います。都会と違って、食べ◯グ等サイトでの情報は充実しておらず、ふらっと入ったお店がとても美味しい、なんてこともしばしばありました。お気に入りのお店を開拓するのも楽しいですよ。(僕が回ったお店はデータとして後輩に引き継いでいます。よければご参照ください。)地域の方々もとても温かく、仕事上や街中での対応もそうですし、色々なサッカーの集まりに顔を出していましたがそこでもフレンドリーに接していただき、色々な繋がりができました。以前、画家の小林舞香さんという方の記事を見ましたが、同じように山形のあたたかみに惹かれて東京から移住してきた方のようです。興味があれば参照してみてください。

短所
①当院で回れない診療科が存在する
 前述しましたが(長所⑦)、呼吸器外科、心臓血管外科、精神科、形成外科などは当院に常勤の先生がいないため、外病院で研修することになります。そのため、例えば大動脈解離で緊急手術が必要な患者さんなどはすぐ転院搬送することになり、治療経過を追えないといった欠点はあります。

②上級医からフィードバックの機会は多くはない
 これはあくまでも大病院と比べての話です。病床数に対して常勤医の数はかなり少ないため、上級医は相当忙しいです。その分、任せてくださる仕事も増え、自分で勉強したことを活かせる機会は多いです。また、困ったときの相談はすぐに乗ってくれますし、最低限おかしなことをしていないかのチェックはしてくれているのでそこは心配なく仕事ができると思います。必要なことは自分で調べてみる、話し合ってみる能力はついたように感じます。

③自動車がないと生活しづらい

 田舎に暮らしたことのある方なら想像に難くないと思いますが、自動車がないと何かと生活に不便なことは多いかと思います。また、現行体制では必須の精神科研修、地域医療実習については公共交通機関か自家用車での移動が必要です(自転車では少し厳しい距離です)。乗り合いで移動している研修医もいましたが、自分の車があるとかなり楽になると思います。

④救急当番の負担

 どこの病院でも救急当番はありますが、他病院の話を聞くとやや当院の研修医の負担は大きいように感じました。普段は他院と変わらないと思いますが、長期休暇がある月は働きに出る回数が多かったです。研修医なので、と割り切ってはいましたが負担に思う方もいるかも知れません。また、病院全体での医師が少ないため、時間内の負担も大きかったと感じますが、令和4年度より救急体制に変更があり、回数や当番中の負担に関してもかなりの改善が見込まれそうです。(といっても私はこれまでの体制も気に入っていましたが笑)

⑤天候(特に冬)

 冬は雪が降りますし、海がそう遠くないため風がかなり強いです。特に私が研修した2年間はかなりの量が積もりました。医師公舎に融雪設備や床暖房がついており、かなり助かりました。

 以上、ポイントとして多く挙げさせていただきました。当院は山形大学でも新潟大学でもマイナーな存在なので、知名度が高くないです。そのため憶測で物を語られ悲しい思いをしたこともありました。まずは実際に足を運んでいただき、当院の空気を肌で感じ、現場の生の声を聞いていただくのが良いのではないかと思います。 最後になりますが、自分で勉強したことを肌で感じたり、すぐに実践できたりと学生の頃よりも刺激的な日々が研修医には溢れています。学生の成績と研修生活は全く別物です。良いことばかりではありませんが、チャレンジ精神のある方にはもってこいの病院だと思います。当院で研修し、"自然と動き、考えられる研修医"になりましょう。

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1日の過ごし方(整形外科での研修)

7:30 処置

8:00 カンファレンス

8:30 手術または外来見学

13:00 手術

・いずれの時間でも、整形外科疾患の救急患者が来たら初期対応を行います。

・勉強や手術記録作成を空き時間や業務後に行います。

ピックアップ

庄内のお気に入りスポット

研修医室

コロナもあったのでなかなか外で楽しむ機会は多くありませんでした。時々意見がぶつかることもありましたが、研修医室で同期で冗談を言い合う時間が一番楽しかったです。

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