研修医の声

カルテの話

どうも、一年目の佐藤です!今回は研修医あるあるのネタを。

医者の毎日の仕事として欠かせないのはカルテ書き。

法律でも決められている大事な仕事。それ故に学生の内からしこたまカルテ実習をさせられてきた学生も多いのではないでしょうか。

私も山形大で、電子カルテなり紙カルテなり何度もした口。

学生がカルテを書くとなれば、指導医の先生を設定して、大学ではその先生にカルテ承認をされて初めて入力完了となるシステムのところも多いでしょう。

学生や研修医の内は「自分名義のみ」でのカルテは書くことが出来ず、指導医の承認と、承認をした指導医の名前が下に併記されます。

荘内病院のカルテでは指導医の名前が併記されるのに加えて、指導医の先生の一言コメントが併記することができます。

といっても荘内病院のカルテではコメント併記は必ずしもしなくていいですが、学生時代のカルテでは必ず何かしら指導医は併記しなければならず、一言「OK」と事務的なコメントされることや「画像の評価が足りない。その他は良い。」みたいな指摘含みなのも様々。

しかして良いも悪いもカルテにコメントして頂けると嬉しいものです。

コメントの中でも特徴的なモノは話題になるもの。

うちの病院には研修医に向けて熱いコメントをしてくださる(救急部の)指導医の先生がいらっしゃいます。

かねてからその先生のコメントはバリエーションが豊富で、研修医間で話題になっていました。

「○○先生、今日も率先して働く」

その科を回ってまもない頃にこんなコメントを頂けば、より頑張ろうという気持ちになれますね。

「○○先生、イノベーティブである」

ベテランの先生にイノベーティブだなんて、これ以上ない賛辞。素直に嬉しい。

しかしてこれを超える表現を頂いたのが2年目こんちゃん(金野)先生。

「金野先生、鬼神の如き活躍」

鬼神の如きだと・・・?ブリタニカ国際大百科事典によれば「普通人の耳目ではとらえることができない、超人的な能力をもつ存在」だそうで。

もはや並はずれた異彩を放つ存在だという最大級のお褒めの言葉。これを超える表現は他にあり得ない。

そう思っていたのも束の間、鬼神如き活躍から1週間と経たずして、あっさり新たな表現が生まれる。

「金野先生、鬼神の活躍」

比喩がとれてしまいました・・・。

鬼神と言われてしまうほどこんちゃん先生よく働いていらっしゃるようでして、カルテを読んでみてもしっかり診察していて細かいところまで書き込みもばっちり。

1年目の研修医の目線からすると感嘆せざるを得ず、心なしか風貌も鬼神に見える(気がする)。

「鬼神が現れたぞ」

と研修医室では話題になり、「鬼神の如き金野医師」「鬼神こんちゃん」「鬼神こんちゃんイノベーション」などと面白がっていましたが、この流れは研修医室だけでは終わらないビックウェーブに。

「鬼神の如きこんちゃんとは誰だ」

各病棟で出会う先生、コメディカルの方々にそう問われたりすることが幾度も出てきました。

しかして、鬼神は病棟で出会うことはできません。なぜなら救急部を回っているのだから。

救急部を回っている間は鬼神が救急部の外を闊歩することはありませんし、救急部に出入りする人も限られている為、エンカウント率も低く設定されています。

故に院内では謎が謎を呼び、「鬼神は誰だ」「鬼神は実際どんな能力を使うのだ」論争がどこもかしこも巻き起こるプチ騒ぎ。

鬼神の全貌はわかりません。

かつて研修で回ったはずのその鬼神は、当時はまだイノベーティブにも程遠い。鬼神への階段を一段たりとも登っていません。救急部で指導医の先生に叩きあげられて、鬼神へと昇華した存在です。

進化の過程を知るのは救急部のスタッフだけ。それもあってか、鬼神の実態は謎に包まれ、より都市伝説化しているようで。。

1日1回は必ず「鬼神のごとき」というフレーズが聞かれるようになりました。

しかして先日、こんちゃん先生とエレベーターに乗っている時、途中から乗ってきた先生に声をかけられ、こう尋ねられました。

「鬼神って知っていますか。」

今年からいらした先生のようで、お互いに初めて会い、初めて話す先生に、「鬼神は誰だ」と聞かれれば、そりゃもう吹くしかありません。

私は無言で鬼神を指さし、鬼神はうつむいて恥ずかしそうにはにかんでいました。

私は、鬼神が救急部以外の先生に認知される瞬間に偶然にも立ち会ってしまいました。

闇に包まれていた鬼神のベールが解ける瞬間は、あまりにもむずがゆいもの。そんなの想像できませんでしたよ。

こうして徐々に鬼神は認知され、上階へと顔を出すにつれて鬼神の本領を発揮していくことでしょう。

そのうち鬼神はどういった称号を獲得していくのでしょうか。

「夜叉・金野」、「羅刹・金野」、「森羅万象・金野」、あたりでしょうか。

先生も工夫を凝らして褒めちぎる言葉をくださるに違いありません。

それに応えて成長していく、研修医・こんちゃん先生の働きに目が離せませんね!

2018年05月13日

研修医

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