研修医の声
NorthはSouthに
今日を以って、三か月に渡って外科研修をしていた大学からのたすきがけ研修医North氏の勤務が終わる
世代最強の男、知識の怪物であった彼と過ごしたこの三か月は、本当に楽しかった
中でも11月中旬頃のこと
彼はこういったのだ
「土日時間がある時よく釣りに行ってるよ」
***
金ちゃん先生がまだ荘内病院にいた頃、よく「釣りに行きてーなー」と呟いていた
彼の実家は元漁師、嘗ては船を持っていたらしく、幼少期に舟に乗って釣りにいった時の話をよくしてくれた
学生時代金ちゃん先生と、もう1人ノリの良い友達Rと三人で温海の釣り堀にいったことがある
その時、温海だからということで、私のじじも呼び釣り勝負だ、と息巻いた
しかし現実は残酷で、ウマヅラの餌取りに金ちゃん先生とRはグロッキー
二時間も立たないうちに飽きて遊び始めてしまった
釣りはそんなに簡単じゃない
よくじじと釣りにいっていた私は、ただ黙々と魚と戦い続けた
じじの口癖は「魚もばがでねーがら、そんなんでつらいるわけねーろや」
魚へのリスペクト常に欠かさない(まあ私は魚をバカにしているのだが)
暮坪の岩場がちょうど秋だと鯛が爆釣のスポットになるのだが、じじとパンを食べながら竿を放置している際、30cm近い鯛が釣れてしまったことがある
アホな魚はアホなのだ
***
かくして、釣りモチベがあるにしては意外にやる気がすぐ途切れる金ちゃんと私は、Northの言葉に噛みついた
「一緒釣りにいこう!!!!」
すぐさま上州屋で釣りセットを揃え、翌日に備えた
細かい所にまで目は行き届いていた
私も家に帰り黙々と外科結びの練習を
きっと使う瞬間があるやもしれん、と
翌日は秋晴れそのもので、気分も晴れやか
海風も心地よい
先発していた金ちゃん先生と私は高揚しじゃれ合っていた
Northがおすすめする場所につき、釣りの準備を進める
「こごでなんかつれんなが」
ゴミ拾いをしている小ババ達に話しかけられる
笑顔だったからそれに合わせて笑顔で返す
ここの住民たちは優しいのだな
しかして...ゴミ拾い民はいれど釣り民はいない
たしかここで待ち合わせのはずだけど...
Northに電話する
「どこにいるの?もういるの?」
「もういるよ、もしかして、場所間違えたんじゃない?」
ええ、間違えました...
その海は釣りをする方と、海水浴の二つの場所に分かれていたよう
そもそも魚がいないエリアで竿を垂らしていたようだった
そこでようやく気付いたのだ
「こごでなんかつれんなが?(笑)」
これは煽りだったのだと...ひどいことをしやがる
Northと合流し釣りスタート
サビキも教科書通りにキレイに行うNorthを見て、めんどくさいと思った私は、じじ流の雑な撒き餌で金ちゃん先生のアシストをする
楽しそうで何よりだ
気付けば辺りは暗くなり、浜風も肌に刺さるような冷たさに
金ちゃん先生はもう最高潮に飽きている
この日はこより20匹にコアジやら何やらが大量、50以上は釣ったと思うが正しい数字はわからない
こんだけあれば美味しいから揚げなりなんなりが作れるぞ
家に戻り、分担して調理
一緒に食べようとF氏も途中合流
釣り慣れているだけあって、ほいほいから揚げにしてくるNorth
私も負けじと鍋、トマト煮込みにしておいしく頂きました
とかくサヨリのからあげはめちゃくちゃ美味しかった
トースターで焼いてみたけど、からあげのが断然オススメ
サヨリは寿司屋のネタでしか食べたことが無かったけれど、実際釣るのも簡単だし、美味しいから20cm程度の長さはあるものの身は小さい個体でもどんどん釣ってどんどん揚げるのが良いみたい
釣りはこれ以降は日程合わなくて行けてないのだけれど、また時間がある時予定合わせていきたいところ
またねNorth
再び荘内病院で働ける日を夢見ておりますぞ
一年目研修医 佐藤
PS 来年のI君は釣りをするそうなので楽しみですぞ
2018年12月28日