研修医の声
尚早ながらも
「いっづもよりはやぐでの。だめだろが、もうそう堀り...」
孟宗というフレーズを聞くのは、もう何年もないだろうと思っていたが、まさか三度目のシーズンインを迎えることとなるのだろうか。
一か月間重労働はしないでください、そんなお話を回診中にしていた際にふと聞こえることとなった。
暖冬が叫ばれた影響は、鶴岡に訪れる春も早くなるということか。お花見もこっちにいるうちにできてしまうかな。
残り二週間と少しとなる荘内病院研修医生活。来年からは三年目の「医師」としての「働き」をしなければならない。
勉強してお金をもらう立場から、働いてお金をもらう立場に...これもまた気持ちの整理としてはついてなく、時期が早く感じてしまう。
多分、冬が短かったからだろう。あまりにあったかい冬を過ごしたものだから、まだボケている感じがある。
寒い期間が続いてからの方が、身も心も締まる気がする。
病院の閑散期ともいうべき季節の変わり目の時期。新生活に向けて、種まきに向けてなのかは知らないがどうものんびりとした毎日が続く。
ハードな毎日から次の生活に変わったほうが良いような気もするが...なおさら不安が募るばかりだ。
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今、世間の関心事と言えば、言うまでもなく「アレ」だろう。
口にするのも嫌になるぐらい取り沙汰されていて、もはやアレ呼ばわりだ。
あれだけ騒がれているにも関わらず、この山形県は四方八方が山々に囲まれているせいか、感染者はおらず安寧の地だ。
こと鶴岡においては飛ぶ以外に簡単に来る方法なんてないから、なおさら安心してしまう。
コロナ対策は当病院でも行われており、マスクも在庫がそろそろ切れると戦々恐々。コロナ疑いの患者さんに検査したという話は聞いたりするが結果はご存じの通り。
本当にコロナはあるのか・・・?と、メディアでしか見たこと無い疾患だからどうも懐疑的にさえなってしまう。
朝の情報番組をチラ見してみても、医療者が見た際にお抱え論者に、ひどい誘導で視聴者受けするようなことを言わせたいと思われるような扇動があったりするし、何も考えずに見ると間違った印象を持たれかねないだろうなぁと思うところ。
出はじめたあたりに、先生方と「どうすれば一番予防できるんでしょうね」としゃべってみても「手洗いうがい以外ないでしょ。マスクなんて、ね。」と、手洗い励行こそ至高とごくごく当たり前の話に。
政府はもっと強烈な手洗いCMを流して、手洗いしないといけない洗脳をした方がいいのでは?
なんて半分冗談、半分本気の話をしてはいたもののこれ以上に有効な手はないとさえ思う。
しかして、日本人の潔癖ぶりというのもなかなか目を見張るもので、人込みではみんなマスクをしているもの。入手困難とは何だったのか?と思うほどに、みんなマスク。
これだけマスクしているなら、マスクしなくてもいいんじゃないかってぐらいにみんなマスク。
その効果も相まってだろうか、手洗いうがい+マスク効果でERでインフルエンザ疑いを見ることがめっきり減りました。勿論季節が過ぎてきたのもあるのでしょうが。
こうした当たり前のことを当たり前にすることが一般的になれば、そんなに恐れる必要も最初からなかったんじゃないかとさえ思うけれど、有事にならなきゃ人は動かないものですものね。
あれだけ世論に批判されていた政府も、他国で同様の事態となればむしろ評価されていくというのもなかなか皮肉が効いている。
それこそ尚早、だったのでしょう。
死者の数ばかりがクローズアップされがちですが、あれもどうなんでしょう。
ここに疑問を持たずに、そのまま受け入れてしまう人達がいるからメディアもやりやすいし、マスク転売が起きてトイレットペーパーもなくなったということですが。
幸いここ鶴岡ではトイレットペーパーは今や普通に売られていますからね。落ち着いています。
情報を鵜呑みにせず、ただ謙虚に見つめていたいと思う今日この頃です。
身勝手に突っ走って「時期尚早だね」なんて、春から言われたくないですから...
2年目研修医 佐藤
2020年03月09日