脳神経外科
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診療の概要
当科は、脳神経疾患の外科治療全般を日々研鑽し、鶴岡市を中心とした庄内地域で診療実績を積み重ねてきました。特に低侵襲治療である脳血管内治療に力を入れており、最新設備の脳血管内治療ユニットで最先端の治療ができる体制を整えています。
当院は日本脳卒中学会の一次脳卒中センター(PSC)に認定され、神経内科と連携しながらチーム医療を行っており、庄内地域における脳卒中治療の砦として24時間、365日、常に緊急手術、緊急治療を行うことができます。
診療体制の特徴と設備
ストロークチーム
脳卒中は時間との勝負であることから、当院では神経内科およびコメディカルと協力し、ストロークチームを作って活動してきました。
救急隊から当院に連絡が入った時点で脳卒中スクランブル体制をとる仕組みが完成されており、救急車受け入れから画像検査、治療までが最短で行われます。さらに、初療から専門医が診察にあたり、質の高い脳卒中の専門的な治療がいつでも提供できるようにしております。
最新の脳血管撮影装置
2025年2月よりPhilips社の最新脳血管撮影装置であるAzurion7 B20/15 LNを導入しました。これは東北地方初の機器で、従来の血管撮影装置に比し低被爆、高精細な画像が提供され、より精密な血管内治療が可能となります。
Azurion7 B20/15 LN(Philips社)
主な疾患と治療内容
脳梗塞
症状:顔が歪む、片方の腕に力が入らない、言葉がうまくしゃべれない
治療:超急性期治療として血栓溶解療法と機械的血栓回収療法があります。
血栓溶解療法
血栓溶解療法とは、rt-PAという薬を1時間かけて注射し、詰まった血の塊(血栓)を溶かして血液が流れるようにします。この治療を受けられた方の3〜4割は歩いて退院し、社会復帰を果たすことができます。
rt-PA治療は、脳梗塞の発症後4.5時間以内の方にしか行えません。疑わしい症状がある場合には一刻も早く当院を受診ください。
機械的血栓回収療法
rt-PAが無効もしくは適応外の患者さんにカテーテルという細い管を足の血管から挿入し、頭の中の脳血管へ進め、血管を塞いでいる血栓を回収し、閉塞した脳血管を再開通させます。当院は脳血管内治療専門医が複数名いますので、24時間365日いつでも迅速に治療可能です。
くも膜下出血
症状:激しい頭痛、意識障害、嘔吐
原因は脳動脈瘤破裂が最多です。くも膜下出血は、最初の出血で約半分の方が亡くなり、再出血や続発する脳血管攣縮によりさらに残りの半分の方が亡くなります。救命できても後遺症を残すことが多く、完全に治癒する確率は2割程度とされています。ただし、積極的な治療により復帰することもあり、外科治療選択が重要です。
治療:動脈瘤頚部クリッピング術と血管内治療があります。
動脈瘤頚部クリッピング術
頭蓋骨の一部を開頭し、顕微鏡で見ながら脳の深部に位置する動脈瘤の頚部を金属製のクリップで挟むことによって動脈瘤内に血流が入らないようにして破裂を防ぐ方法です。血管内治療よりは身体への負担はややあるのですが、最も確実な方法です。
血管内治療
・コイル塞栓術:大腿動脈という足の付け根の太い動脈から脳動脈瘤の中までマイクロカテーテルという細い管を通します。そのカテーテルを通して柔らかく細いコイルを脳動脈瘤の中に流し込みます。脳動脈瘤の中をコイルで満たし、血液の流れ込む隙間をなくすことで、破裂を防ぐ方法です。
・WEB(Woven EndoBridge)デバイス塞栓術:2020年から本邦に導入された細かい網目の袋状になった治療機器です。太ももの付け根から動脈内にマイクロカテーテルを挿入し脳動脈瘤の中へWEBを挿入すると直ちに膨らんで血液が流れ込むのを遮断、破裂するのを予防します。従来のコイル塞栓術では困難な形状の動脈瘤でもWEBは1つのデバイスで治療を完結することができ、手術時間も非常に短く、抗血小板剤を飲み続ける必要がないなどの利点があります。山形県内では山形市立病院済生館でしかできない最新技術でしたが、2025年より当院でも使用可能となりました。
コイル塞栓術、WEB塞栓術、いずれも身体への負担が少ない治療法です。難易度の高い治療ですが、当院では資格をもった脳血管内治療専門医が治療を実施しています。
脳血管攣縮時の脳血管内治療による介入、脳室ドレナージなど幅広い対応を行っております。重篤かつ予後不良な病気ではありますが、積極的な治療により総じて良好な治療成績を達成しております。