歯科口腔外科
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概要
歯科口腔外科は顎・顔面・口腔の疾患を対象として、診察、手術を行う診療科で、一般歯科治療は行っておりません。疾患の内容としては、腫瘍(悪性・良性)・顎骨嚢胞・先天異常・顎顔面外傷・顎関節症・炎症などがありますが、中でも特色のあるものとして顎変形症の治療があります。
良いかみ合わせを作るために一般的には矯正治療を行います。しかし顎変形症の場合は「下顎前突(図)」や「顔面非対称」、「下顎後退」、「開咬(上下のかみ合わせが開いている)」など上下顎骨の位置のズレがあるため、矯正治療のみでは良いかみ合わせを作ることはなかなかできません。このような場合は「外科的矯正治療」といって顎を動かす「顎矯正手術(統計の分野記号C-2)」を併用した矯正治療を行います。この治療を行うことにより顔貌が改善すると同時にかみ合わせも改善します。顎矯正手術の方法としては「上顎を動かす手術」、「下顎を動かす手術」、「歯槽部のみを動かす手術」、 「オトガイ部を動かす手術」などさまざまな方法があり、顎変形の状態にあった手術法を選択し、複数の手術を組み合わせて行う場合もあります。手術前後には矯正治療が必要となりますが、矯正治療は矯正専門医で行います。
また、2012年から口腔がん担当の1名が増員となりました。口の中にできるがんを口腔がんといい、最も発生しやすいのは舌がんです。口腔がんは珍しく、がん全体の1%程度ですが、近年、増加傾向にあります。治療法は、手術で切除する外科療法(統計の分野記号D-1,D-2)が主治療となりますが、ほかに放射線治療、抗がん剤による化学療法があります。治療法の選択は、がんの部位、大きさ、病理組織診断、転移によって決定し、それぞれの治療法を単独あるいは併用して行います。くびのリンパ節に転移がある場合には、くびのリンパ節郭清(頸部郭清術)を行います。切除により口腔内の欠損が大きくなる場合には、前腕皮弁、腹直筋皮弁などを用いた再建手術を行います。再建に使う組織は欠損の範囲や部位によって決定します。また当科ではがん組織を栄養する動脈に直接抗がん剤を注入する超選択的動注化学療法を導入し、手術を回避できることも多くなってきています。
図:下顎前突症(イメージです)